俳優の清水富美加さんが幸福の科学に出家するので芸能活動をやめる、という騒動が話題になってます。
この出来事は、日本人の宗教観を考える上で非常に興味深いものと思います。わたしなりの感想を綴らせていただければ、と思います。
このブログを開設した時点で、ここで宗教のことを書く想定はしていなかったのですが、以前ご紹介したとおり、たまたま宗教、特に仏教に関して面白い本を読む機会を得られたので、その感想文を書かせていただきました。
今回の清水富美加さん問題では、ちょうどこの本を読んだ感想からつながる感じがしたので、書かないのはもったいない、という認識でまた書くことにしました。
報道されていることがどこまで真実かがわかりません。得られる情報の範囲をもとにしております。
1.両親が信者だということ
ご両親が熱心な幸福の科学だと言われています。
だとすれば、その両親に育てられる教育は、幸福の科学に基づくものだったでしょうから、清水さんに与える影響は非常に大きいと言わざるをえません。
わたしも、仏教(浄土真宗)の両親に育てられ、その考え方、教義(というと大げさですが)が身にしみついています。なので、両親の影響によるであろうことは否定できないと考えます。だからこそ、仏教について調べてみようと思ったわけですし。
[st-card id=230 label='' name='']一方で、両親が信者だからすべてが許されるか、というとそうでもありませんよね
まさか「人を殺せ」と教える宗教は無い(と信じたい)と思いますが、両親の教えが「人を殺めろ(あやめろ=殺せ)」だったから殺した、親の教えならしょうがないな、ではたまったもんじゃない。(精神鑑定を行うだなんだで刑を軽減しようとする裁判はありますけれども)
2.神対応の濫造という日本
「濫造」という表現が適しているかは自信がないですが、神ナントカが多すぎる現代。
中川家の、漫才中に赤ちゃんが泣き出したのをあやして、それを笑いにしたというのは神対応かなあ。
素敵な対応をしたこと、価値のある対応をしたことに間違いはないけど、“神”とまで言えるかなあ。
比較するならこちらの方が神対応といえるような気がする。
「神対応」という最近の言葉はこういう時に使うのだろう… pic.twitter.com/k69csZ8iBJ
— マエダショータ (@monthly_shota) 2017年2月9日
まあ、この場では神対応の順位付けをするわけじゃないので、ここまで。
言いたかったのは、日本人が神をどうとらえているかです。
日本人には神仏とか「神様、仏様」という言葉が当たり前に根付いてます。
神は神道、仏は仏教と分類すれば、神と仏は厳密には違うわけです。この両方が共存しています。正確には、仏教の信者であっても神様も信じている。神様も崇めている。
わたしの実家もそうですが、仏壇があるのに神棚もある。
日本人にとって、神様と仏様はシームレスです。明確な境目がない。どちらも信じる対象、というか両者に違いがない。
神様も仏様も同じ、クリスマスも祝う。
かっこよく表現するなら、日本人は排除することはしない。排他的ではない。
なので、清水富美加さんの宗教心も受け入れられてもいいかな、とも思います。
でも、それが幸福の科学だと違うよね〜。
オウ●真理教だと違うよね〜。
統●教会だと違うよね〜。
その他諸々・・・。
これらの宗教(団体)については抵抗感を持つのも日本人。
極端すぎる、従来の宗教からの乖離が甚だしい、人を救うはずの宗教が金がかかりすぎて身を滅ぼすことになってしまう・・・。
自分の身の危険さえも感じることを教え、実行させようとする。
そこまでも許容するほど、日本人の宗教観、歴史、経験、価値観は甘くはない。
3.ブラック企業と、魅力的に映る宗教
- めっちゃ仕事させられて給料は5万円だった、という清水さん側の主張。
- 適正な給与は支払っていて、寮での生活環境も提供していたとする所属事務所(レプロエンタテインメント)側の主張。
このあたりの事実は、どちらが正しいのかを確認しないといけませんけれど。事実がどうだったかがわかったとしても、判断しづらいこともあります。
吉本興業(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)に所属するお笑い芸人らは
最初の頃の舞台は1回あたり500円だった
とか
月給 1万円だった
とかいう話を聞きますね。売れてないんだからしょうがない、と思うんだけれども、それ以外で彼ら彼女らはアルバイトで生計をつないでいる。
一方で清水さんはどうだったかを想像すると、
- 朝から晩まで芸能活動をしていたということは他の仕事は一切できない状況にあったかもしれない(売れっ子なら普通だと思うけど)にもかかわらず収入は5万円だった
- 生活環境が整えられていた=軟禁状態にあった ということが想像されなくもない
てなことからすると、何かに逃げたいと考えたとしても無理はない。
ましてやそれが、両親から聞いていた宗教だとすれば、理解できなくもないって感じです。
電通に勤務していた高橋まつりさんが、他に逃げる場所がなく自殺という選択肢しかなかった状況よりは、宗教が救う場があったという意味では清水さんはまだよかった、という見方もできます。
そういう意味では、幸福の科学に救われた清水さんがまた世の中に出てきて、自分らしい活躍、自分の求める活動をしてくれることを期待したいですね。
(でもその時点で、“幸福の科学の”清水富美加というレッテルがつくのは間違いないでしょうが。)
この記事、安易に逃げるつもりはないけど、この記事を書き始める直前に「引退ではない」と清水さん側が表明するあたり、このあとも騒動が続きそうですね。
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